ポップカルチャー好きのブログ

好きなドラマ、音楽、舞台の感想を気ままに書きます。

『初めて恋をした日に読む話』6話

『はじこい』では毎回ドラマの内容に応じ、あるキーワードが繰り返し強調される。4話では「幸せ」、5話では「元気」、そして6話では「肩書き」だった。

八雲(永山絢斗)は松岡(安達祐実)の提案により、春見(深田恭子)に自分のモテる様を見せつけるため、高校の同窓会を開くこととした。ドラマ中盤、八雲の同僚である西大井(浜中文一)は、同窓会でモテる自分をアピールしようとしている八雲に姑息だと伝えた上で、学歴や肩書きで女子が寄ってくるのは良いこととは言えないと話す。

西大井:「学歴も肩書きもない別の自分になったら、本当の出会いがあるかもしれないなって思うんですよね。」

自身は違う高校の松岡もちゃっかり同窓会に参加した上で、男性陣からもらった名刺の肩書きを読み上げながら「まあまあかなぁ。」とつぶやく。

その後、西大井は雨宿りにより偶然出会った松岡に対し、エリート商社マンである自分の肩書きを隠し、売れないダンサーと偽った上でカフェに誘う。

このようなコミカルな描写を挟みつつ、ドラマ終盤で由利(横浜流星)と春見が以下のように会話する。

由利:「歳とか先生とか肩書きとか、そんなの全部関係なくて、ただ普通に春見に会いたかった。」

春見:「私は先生として会えて良かったよ。ユリユリを東大に合格させることが出来るから。」

肩書きを気にする西大井や松岡と対比することで、肩書きに関係なく素直に思いを伝えたい由利の純粋さ、切実さが際立つ。話の流れを損なわず、直接関係のない様々な人物の台詞に繋がりを持たせることで終盤の見せ場を引き立たせる演出が毎回巧妙で、1時間目を離せないドラマである。今後も期待したい。