ポップカルチャー好きのブログ

好きなドラマ、音楽、舞台の感想を気ままに書きます。

『初めて恋をした日に読む話』9話

今回の『はじこい』のテーマは「選択」。ドラマ内の様々なシーンで何度も「選択」にまつわる会話がなされた。

冒頭、由利(横浜流星)と父親の菖次郎(鶴見辰吾)がこのような会話をする。

菖次郎:「仕事でも何の世界でも、高みを目指せば必ず、厳しい選択をしなければならない時がくるんだ。」

由利:「俺は両方取りに行く。」

菖次郎:「お前なら出来るかもしれないな。」

 

また、春見(深田恭子)が八雲(永山絢斗)からプロポーズされたことを松岡(安達祐実)に伝えると、松岡は春見にこう言う。

松岡: 「しっかり悩んでしっかり選びな、どっちにするのか。」

松岡の言う「どっち」とは、暗に八雲と由利を示している。

センター試験マークシート択一問題を説明するシーンでは、以下のような台詞がある。

春見:「選択するってことは、他を捨てるってこと。」

春見と由利が初詣に行くシーンでは、春見が由利に最初に勉強を教えた神社にて、東大受験の道を選んだ由利に対して春見がこのようにつぶやく。

春見:「何を選ぶかで、人生変わるんだよね。」

由利:「俺は春見を選んだんだよ。」

 ラストの春見のナレーションでは、由利に対してこのように語っている。

春見: 「世界中の誰より祈ってる。君の選ぶその答えが、君の夢を叶えてくれることを。」

これだけ何度も、しつこいくらいに「選択」が強調された9話。
由利にとっては東大二次試験の日、八雲にとっては今後のキャリアが決まるレセプションの日、春見が交通事故に遭う。八雲は仕事ではなく春見を選び病院へ。由利は春見ではなく試験を選び受験会場へ。
次回予告で由利と山下(中村倫也)がこのように語っている。

由利:「春見じゃなくて受験を選んだ。選ぶってことは捨てるってことだって、前に春見が。」

山下:「後悔してんのか。」

由利:「後悔はしてない。」

春見は由利の東大現役合格を誰よりも願っている。そしてその思いを、由利もしっかりと受け止めている。由利にとっては、受験を選ぶことが同時に春見のためでもあるから、受験を選ぶことで春見も選んだこととなる。ドラマ冒頭、父親との会話での「両方取りに行く」という台詞にも、その思いが表れている。

8話感想のブログで書いた、春見は「何のために」由利の東大受験に全力なのか、という問いだが、9話にて由利のことが好きになっているからだと明らかになった。
また、これまでの回で話題になったシーンや台詞のオマージュが詰め込まれており、ドラマを見てきたファンへのサービスに溢れた内容となっていた。誰もがハッピーエンドを望んでいるに違いない今作、最終回を楽しみに待ちたい。